久我 でも、成年さんは、全然そのままで時忠の感じですね。
成年 いや、この映画に出てくる時忠というのは、貧乏公卿の息子で、軍鶏でバクチをやっているような、不良性を帯びた少年でしょう。ところが、僕にはその不良性というのが全然ないんで(笑声)
雷蔵 そうかな。僕も久我さんと同意見で、実に適役だと思っているんですよ。大体、時忠というのは、その時代の不良学生みたいなもので、成年さんの学生時代の体験をそのまま生かせばいい訳だからね。(笑声)
成年 (負けたという顔)でそりゃまあ、そういえばそうかも知れませんね。まあ、今なら、マンボが好きで、毎夜マンボホールへ通うところをお姉さんから叱られて、「どうしてマンボを踊ったらいけないのか」と口答えしている感じですかね。しかし、反面、時忠ってスゴク頭がよかったのですってね。後に平家があやうくなって来ると、院の御所を動かしてちゃんと源氏の方へもわたりをつけるし、娘の卿の君を義経の奥方にすすめたりして、とにかく先見の明があって、機動性に富んでいた策略家だったんです。清盛があれだけ一代のうちに成功したかげに、時忠の協力も相当あったらしい。とにかく、頭のいいという点は、僕の地で行けばいい(笑声)
久我 その自信が、時忠式ね。
成年 とにかく、この辺で発言を稼いでおかないと・・・。(笑声)でも、時忠も頭がよかったが、またその姉さんの時子も偉かったのですね。
久我 血統なのね。