1966年12月10日(土)公開/1時間32分大映京都/白黒シネマスコープ
併映:「大魔神逆襲」(森一生/二宮秀樹・山下洵一郎)
企画 | 藤井浩明 |
監督 | 池広一夫 |
脚本 | 高岩肇 |
撮影 | 田中省三 |
美術 | 太田誠一 |
照明 | 加藤博也 |
録音 | 海原幸夫 |
音楽 | 渡辺岳夫 |
助監督 | 溝口勝美 |
スチール | 小山田輝男 |
出演 | 安田(現:大楠)道代(茜)、富士真奈美(千歳)、伊藤雄之助(黒戸佐太夫)、石山健二郎(武田信玄)、五味竜太郎(矢吹の猪十)、島田竜三(本田忠勝)、内藤武敏(徳川家康)、井上昭文(斑夜叉丸)、水原浩一(鰍の弥太郎)、伊達三郎(鬼笛の音吉)、杉山昌三九(穴山梅雪)、南条新太郎(酒井忠次)、尾上栄五郎(天野景貫)、原聖四郎(山県昌景)、沖時男(遊女屋の亭主)、舟木洋一(武田勝頼)、木村玄(一の目の九郎次) |
惹句 | 『父の仇を求めて二十年!この復讐はたしてなるか!天を駆け、地に潜み、闇にとけ、風より速く襲う!一瞬の差が生死を逆転する忍者の死斗!』『父を殺した三人の忍者を!必ず探し、必ず斬る!戦国武将の野望の陰に、若き忍者の復讐の執念が燃える!』 |
◆解 説◆
忍びの者シリーズ第八作『新書忍びの者』は、歴史の陰に隠された忍者の活躍と、父の仇を狙う忍者の執念、忍者対忍者の激しい秘術の攻防を描いた興味溢れる作品です。
ものがたりは、戦国の頃、父を惨殺され復讐を誓って忍者になった若者が、戦乱の渦中で活躍し歴史を大きく変えながら次々と父の仇を討ち果していくといったものです。
復讐の執念に燃える若き忍者霞小次郎には市川雷蔵が扮しています。これまでに七本の“忍びの者”でそのたびに新しい秘術を演じてきた雷蔵が、こんどはどんな手を見せるか大いに期待できます。
雷蔵の相手役には、大映のホープ・スター安田道代が出演します。小次郎と相思相愛の中になる娘茜といった役柄ですが、一役一役力をつけていく安田が、雷蔵をむこうにまわしてどう演じるか話題となるでしょう。また第一作『忍びの者』に出演、特異な演技で好評を博した伊藤雄之助が忍びの術の師に扮して、忍者の宿命を象徴的に演じていいます。富士真奈美も久しぶりに京都作品に出演、遊女千歳役で色どりをそえます。ほかには須賀不二男、石山健二郎、井上昭文、五味竜太郎など芸達者が演技を競います。
多彩なテクニックを駆使する俊才池広一夫監督が、このシリーズ二度目のメガホンを取ります。また、撮影には新鋭田中省三が抜擢され第一回のカメラを握り、名カメラマン宮川一夫ゆずりの鋭い感覚の映像を見せてくれます。そのほか、録音海原幸夫、美術太田誠一、照明加藤博也などいずれ劣らぬ優秀技術陣が顔をそろえてガッチリと池広監督を盛り立てています。(公開当時のプレスシートより)
(西スポ 12/08/66)
◆物 語◆
戦国の世、天下統一を狙う武田信玄と、それを阻まんとする織田信長、徳川家康とは激しい反目を続けていた。父を三人の男に殺された霞小次郎は、乱波の大立者甲斐の黒戸左太夫の弟子となり、忍びの術を習得した。もちろん、二十年前、三人の忍者に惨殺された父の仇を討つためでもあった。
小次郎が京の町に入った時、偶然、ある研ぎ屋で鎖鎌を見つけた。それは間違いなく父を殺した鎖鎌だった。やがてそれを受取りに来た遊女千歳の後をつけた小次郎は、三人の忍者の一人猪十と向い会う。そして父が受けた仕打ちと同じように、猪十の片腕を斬り落し、第一の仇を討った。その後、さらに、左太夫の許で苛酷な訓練を受ける小次郎は、茜という左太夫の娘の好意を受けながら日増しにたくましくなっていった。
やがて、信玄と家康は正面きって衝突。小次郎は、まもなく左太夫とともに信玄側に参加、家康の居城浜松城に迫り、打倒家康を企てたが、不利となった信玄は忍者を犠牲にして撤退したため、小次郎の同志の多くが殺された。彼らの亡骸を前に小次郎は信玄暗殺を誓い、左太夫と小次郎は信玄を襲って傷を負わせる。小次郎はその時、左太夫から、父の第二の仇が徳川方の忍者夜叉丸であることを知らされる。
しかし、夜叉丸との対決で、小次郎は重傷を負い、千歳や茜の看護を受けたが、再び小次郎を襲ってきた夜叉丸に千歳が犠牲になって小次郎を救った。谷川で精気を養い、傷を治した小次郎は再度夜叉丸と対決する。しかし、小次郎の手裏剣に両眼を潰された夜叉丸を左太夫がとどめをさした時、小次郎はかすかな疑惑を持った。第二の仇を討った小次郎と左太夫は、その後、信玄の宿舎に忍び込んだ。そして、天井裏から毒の吹矢を射たのである。二人はこうして信玄の野望を断ち、歴史を変えたのである。騒然となった武田陣を脱出せんと屋根に上った二人だったが、小次郎はその時父の第三の仇が誰なのかを悟った・・・。忍者の宿命ともいうべき非情な運命だった・・・。
父を殺され忍者となった若者が、戦乱の渦中で活躍しながら次々と父の仇を討ち果たしていく“忍びの者”シリ-ズの第八作。
詳細は、シリーズ映画“忍びの者シリーズ”参照。