十一月二日、第一回秋の集いが千代田公会堂で行われた。雷蔵さんも、会員の皆様も、この日をどんなに待った事でしょう。楽しい雰囲気のうちに進められたこの集いの模様を、当日御出席出来なかった会員は勿論、御出席なさった方は、あの時の事を思い返して下さい。                                  

(安部)

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 ジェスチャークイズの笑いが納まらないうちに、映画が始まりました。昼は『弥太郎笠』、夜は『浮舟』、そしていよいよお待ちかねの雷蔵さんの「助六」の幕開きです。

 舞台は花の吉原仲の町、長唄が流れ、花道の揚げ幕がさっと上って、助六が本舞台にかかります。傘をひらくと雷蔵さんの美しい助六の姿があらわれます。会場からため息がもれるのも無理のない所でしょう。(この助六の衣裳はお父様の寿海丈のものです。念のため)黒の着物に“ぼたん”の紋、浅黄の裾に赤の襟、頭にまいた“鉢巻”の紫も一段とさえて、うっとりと見とれているうちに目の前を、するすると定式幕がひかれる。そして再び幕が開くと、雷蔵さんがサインボールを投げる。会員からテープの雨、名残を惜しんでいるうちに静かに緞帳がおりる。ここに第一回秋の集いは終了したのです。

 雷蔵さんはその日の、十時東京発、彗星にて御帰洛なさり、三日には弁天小僧の撮影に入り、十一月十三日より、お正月作品『人肌牡丹』の撮影に入っております。

 当日御出席下さいました来賓の方々(以下いずれも敬称略)

 永田大映東京撮影所長(舞台より御挨拶はいたしませんでした)、潮万太郎、若尾文子、梅若正二、若松和子、仁木田鶴子、叶順子、月田昌也、柴田吾郎、市田ひろみ、紺野ユカ、瀬戸幸子、大映宣伝部御一同

お祝いに見えた月田昌也さん

 祝電を下さいました方の御芳名

 山本富士子、金田一敦子、盛岡の会員、札幌グループ一同、静岡、江崎金彦

 花束、花籠を下さいました方の御芳名

仁木田鶴子さんより花束をいただく

 永田所長、大映京都撮影所(レイ)、大映宣伝部(花籠)、麦のグループ若尾文子、菅原謙二、小泉勝(花籠)、近代映画、映画ファン、平凡、明星、小説サロン、マルベル堂、中村錦之助後援会、東千代之介後援会ゆかり会(及びグループ)、美空ひばり後援会、大川橋蔵後援会、木暮実千代後援会、長谷川裕見子後援会ひろみ会、若山富三郎後援会、勝新太郎後援会、寿会関東支部、中部雷蔵会

 御寄付下さいました方の御芳名

 伊勢丹、白木屋、大映本社、マルベル堂、東洋繊維株式会社、盛岡市・小笠原幸子、清水市・望月清子、福岡市・三野ちか子、弘前市・丹藤みつ子、対馬薫、盛田香

 以上記しましたとおり、当日はいろいろとありがとうご御座いました。略式ながら、紙面より厚く御礼申し上げます。

 尚、当日お手伝いくださいましたグループ責任者の皆様には、ほんとうにお疲れになった事と存じます。役員一同、不慣れのため、いろいろ手違いが生じ、御迷惑をおかけしたと存じます。ここにお詫びを申し上げます。

 当日、楽屋へ雷蔵さんを訪ねていらっしゃった会員さんも多かったのですが、中に、遠くハワイから来た方がいらっしゃって、あと二週間程すると、ハワイに帰られるとの事。その方は全然日本語が話せません。雷蔵さんの前で一生懸命英語で話しているのですが、まわりの人にもわからないのです。そのうち、大事そうに雷蔵さんの前へサイン帳を出しますと、中にちゃんと雷蔵さんのブロマイドが入っているではありませんか、雷蔵さんも快くサインをしてあげていました。今頃はもう、その方ハワイへ帰られた事でしょう。そんな遠くにも、雷蔵さんのファンの方がいると思うと、嬉しくなりますね。これは秋の集いの一寸した置土産でした。

ここでお知らせを致します

 第一回秋の集いを記念して、雷蔵さんへ会よりレコードをお贈り致しました。これは先に御誕生祝に差し上げました電蓄で、御使用願うためです。尚、レコードの品名は下記の通りです。

@ 名優のおもかげ 浜松屋の場、世情浮名横櫛
A イブ・モンタンのシャンソン 二枚
B ダークダックスのロシア民謡
C 王様と私
D 鈴木章二とリズムエース
E ベニーグッドマン
F タンゴ
G エセル中田のハワイアン
 当日は、名優のおもかげの浜松屋の場だけ皆様に御紹介致しました。時間の関係であとのものを御紹介出来ませんでしたので、御了承ください。