朝よりしとしと降る雨で心配していたが、開場の頃どうやら晴れて来た。九時より会場その他の準備に追われ、気のついた時には入口にこの日を待兼ねた会員さんでうずまっていた。半年前より用意万端整えたが、まだまだやりたりないような気がしてうろうろするばかりだった。刻々開場時間も迫り、十一時「幕があきます」の声に、なんともいえない気分になる。

 理事長の御挨拶に続き、芥川隆行アナウンサーのいつもながらの流麗な司会のうちに、雷蔵さんの登場です。何ともいえないようなどよめきと拍手。この様子を舞台のそでより見ていて、いつもながらの暖いファンの御声援につつまれている雷蔵さんは幸せだと、つくづくかんじさせられたのだった。それに答えられる様に、ほりの深い演技者になりたいと挨拶されました。

 お祝いにかけつけた林成年さん、小野道子さん、長谷川彰子ちゃん、品川隆二さんより花束を受けられた。続いて各後援会や会員さんの真心のこもった花束や、贈物を受けられ舞台は見る見るうちに花の山を作っていった。さてプログラムは進み、一問一答です。これにはこんな話があります。発表会が終ってから、一問一答は、はじめに問を作っておいてから雷蔵さんに考えてもらうのだと、それを聞いていたので今回は会員さんより募集し、十五分間で答えられるだけ抜粋し、封印をしてしまい、当日封を切り、雷蔵さんに答えていただいたのです。中にはかなり面白い問・答がありましたので、二-三書いてみますと・・・将来についての御希望はに対して、「一寸先は闇ですからね」。最近演りたいものに対して、「ハムレット」。批評家のいう事は気になりますかには、「気にならなければいけないのでしょうか、別に気にもしない」。悩みはおありですか、「悩みだから人にはいえない」。といった調子でした。

 質問に対しての答は雷蔵さんには一種独特のものがあり。わかるようなわからないような、そこが中々いいのかもしれません。それから福引で、次の小唄にうつります。これは殺陣が急に出来なくなり、その代りになったもです。“春がすみ”“止めては見たが”“夜桜”の三曲で、三味線春日とよ稲、かえ手春日とよ稲園さんで、雷蔵さんはしぶいのどを聞かせました。小唄が終ったところで、親友中村錦之助さんがお祝いにかけつけて下さいました。相も変らず仲の良いお二人です。

 映画『次男坊鴉』夜は『朱雀門』上映中、一寸楽屋を覗いてみましょう!

○お昼どきのため、錦之助さんはファンよけとおぼしき眼鏡をかけ、雷蔵さんと並んでのりまきをおいしそうに食べています。お二人共食欲  旺盛と見えました。

○お祭りの扮装のまま、部屋から出ていらっしゃった雷蔵さんに思わずうっとり。おっと仕事、仕事。カメラの一斉放射にまじって、腕の見せどころと写したのが口絵の様な結果です。

○待てどくらせどからみの方がこない。唯皆うろうろするばかり、雷蔵さん「まだこないの」。錦之助さんも心配して「僕が出てやろうか」。雷蔵さんいわく、「二人が主役踊ってたらいいわ」ですって・・・。