一月三日、あまりにも突然な、雷蔵さんのお母様の御死去に接し、私達の驚きより寿海丈、雷蔵さんのお悲しみは、いかばかりかとお察し申し上げます。
聞く所によりますと、一月二日、丁度歌舞伎座の初日の日、大変お悪かったそうで、寿海丈も心配されて楽屋入りされたとか・・・。
なんでも御自分でやらなければいられない御性格らしく、今度の寿海丈上京に関しても、一人ではやれない、と云うお気持から無理を押して上京されたそうです。
数年来の心臓病のため、お医者も、上京不可能と云われたため、雷蔵さんも、上京するのならお医者を一人つけて行く様、忠告されたとか・・・。
昨年十二月二十七日上京されて以来、病床に臥せっておいででしたが、ついに一月三日、寿海丈を歌舞伎座に送り出してすぐ、午前十時四十五分、おなくなりになりました。
この悲報を、箱根で静養中の雷蔵さんに伝えられ急遽上京、少しでも東京に近い所にいらっしゃったという事が、不幸中の幸いだったと云えましょう。 |