「鶴亀」は能の現行演目の中では最も短いもので、初心者向きの入門曲として知られている。

 昔、唐の都では、お正月に季節の変わり目の祝祭を、官職や民を交えて行ったとのこと。その時、鶴と亀が、祝祭を行っている豪華な建物に現れ、皇帝の長寿をお祝いし、舞を舞った。気分を良くした皇帝は、自ら国土豊かにと、国の繁栄を踊りながら、長生殿に帰って行った。

 庭の砂(いさご)は金銀の、玉をつらねて敷妙の、五百重(いおえ)の錦や、瑠璃の扉(とぼそ)しゃこうの行桁、瑪瑙の橋、池の汀の鶴亀は、蓬莱山もよそならず、君のめぐみぞ、有り難き、山河草木、国土豊かに、千代万代と、舞たまえば、官人駕興丁、神輿を早め、君のよわいも、長生殿に、君のよわいも、長生殿に、還御なるこそ、芽出度けれ

 

 

  

 

  

 

 
  去る四月十日の皇太子御成婚記念にフジテレビで、雷蔵さんは浦路洋子さん、中村玉緒さんと鶴亀を踊られました。

      (59年5月25日発行 よ志哉11号より)