☆茶化しちゃアカン

雷蔵 あんたにはな、いつも羨ましいと思ってるんだ(笑)どういうの?とてもロマンの香りがするんだな。(笑)

橋蔵 お返しですか。(笑)

雷蔵 いやホントウだよ。江戸ッ子だからてきぱきと喋りはるけどね、なんかそれでいて甘さっていうか、ロマンティックな、薄いオブラートでふんわりとつつんだようなロマンティック(笑)こりゃ、女殺しやで橋蔵君は・・・。(笑)

橋蔵 なんだか変ないいかただな(笑)そんなことはないね、だいいち僕はラブ・シーンが苦手だよ。

雷蔵 とんでもない。それは僕や。

橋蔵 いやちがうよ、写真見てもね、ラブ・シーンでは雷ちゃんの方がお上手さ(笑)ぐっとしばいを押してるもの。(笑)

雷蔵 そうかなあ、僕は人前えのラブ・シーンて、照れちゃってさ、とってもイケマセン。(笑)

橋蔵 ラブ・シーンて難しいよ、変に演るといやらしくなるしね。

雷蔵 ひとつは、脚本家も照れて書いてるからアカンのや(笑)

橋蔵 ひどい人だね、脚本のせいにしちゃったね。(笑)

雷蔵 それはホンマやぜ、日本はチャンバラはうまいけどね、橋蔵君はチャンバラがとてもいいよ、いつも感心して見てるんだ。

橋蔵 どうもありがとう。(笑)

雷蔵 しかし、こうしてお互いに映画界で働いているなんて、ちょっと変な工合だね、そう思わない?

橋蔵 思うね、大いに思うね。だってさ、僕が映画をはじめて見たのは「蛇姫様」だからね。それは小さい頃だよ。

雷蔵 僕だってさ、まさか映画俳優になるなんて思わなかったものね。

橋蔵 雷ちゃんが逢うたんびに、どうや映画に入らないかってよく僕にいってたね、いまでもよくおぼえている・・・。

雷蔵 どうや映画に入ってみてよかったやろ?

橋蔵 うんまあよかったよ。(笑)

雷蔵 なんや、その、うんまあ・・・。(笑)

橋蔵 いやね、舞台もなかなかいいという意味なんだよ。

雷蔵 ありがとうございます。舞台出の僕らはそういういいかたをしなければアカン(笑)橋蔵君ようエチケットを知ってはる。(笑)

橋蔵 コラッ、また茶化す(笑)

雷蔵 さあさあ、本音を吐いた、吐いた。