雷蔵 (改った顔で)今日はぼくが聞き手になって、いろいろうかがいますが正直にお答えください。(笑)

千原 (右手をあげて)ハイ、何でもお答えいたします。

雷蔵 では、ラブシーンは苦手ですか?(笑)

千原 きっと、そうおっしゃると思ったワ。(笑)私ねラブシーンて余りやってないんです。「いろは若衆」で錦之助さんとぐらい・・・だからお答えできません。(笑)

雷蔵 では、代ってお答えいたします。(笑)ぼくも実は苦手だなア。(笑)この間も「又四郎喧嘩旅」で嵯峨(三智子)さんに、口うつしで水を呑ませるシーンを撮ったんだけど、テレちゃって、なかなかうまくいかない、弱っちゃったよ。(笑)

千原 私は、監督さんや、スタッフの方に「恋人もったことないんだね」ってよくいわれるんです。だって、恋愛なんて、やれませんよ、私が男みたいだから・・・(笑)

雷蔵 しかし、理想の男性ってのはあるでしょう。

千原 それがとてもむつかしいの。第一、男の人ってよく分らないわ。女同志でさえ、なかなか相手の性格がわかりにくいのに、おとこの人のこととなったらさっぱり・・・

雷蔵 ぼくは極めて平凡なんだけど、女らしい情味があって、清潔なひとだったらいいと思うな。そんな好みに合う、理想の女性が見つかったら、ぼくは、カンゼンとして結婚を申しこむね。

千原 そうね、好きで好きでたまらない人が現われたら・・・その人が理想の男性ね。

雷蔵 同感!ぼくはそのとき相手が素人のお嬢さんだろうと玄人であろうとかまわない。ぼくの仕事に理解さえもってくれるなら。千原さんは、そんな相手についての希望は?たとえばサラリーマンがいいとか実業家とか・・・

千原 好きでたまらない人なら何でもいいわけですけど、まあ実業家タイプタイプの人が・・・芸術に理解の人ならね。

雷蔵 まず大体において意見が一致したようですね(笑)ところで結婚したとして、子供はほしい?

千原 子供は好きよ。でもそんこと全然仮定の問題でしょう?(笑)

雷蔵 うまく逃げたな。(笑)ぼくは世間でよくいうように一姫二太郎ぐらい。男の子のうち一人はスポーツマンにしたいな。

千原 映画のお仕事は?

雷蔵 本人がやりたければ、やったっていいでしょうが・・・。ぼくも映画に入るとはちっとも考えてなかったものね。

千原 私も・・・私は踊りのお師匠さんになって身を立てたかったの。それが今では・・・

雷蔵 だんだんおもしろくなってきて、ちょっと止められない。(笑)

千原 お仕事に、とても慾が出てきたわ。

雷蔵 よろしい、なかなかいい傾向です・・・なアんて。(笑)