さて第三の段階に移ります。それは脚本が監督の手に移った演出台本の段階です。演出台本には一定の形式はありません。脚本一般本読み前に精密な演出台本を用意している人もあれば、最後の撮影現場まで、演出台本を組み立てている人もいると云った具合です。演出台本は基本的には監督の台本であると共にスタッフの又演技者(キャスト)の台本でもあります。

 ここでスタッフの構成を御紹介しておきましょう。監督、助監督、記録、撮影、効果、照明、美術、装置、装飾、録音、音楽、特殊技術、衣裳、美粧、結髪、擬音、殺陣、スチール、タイトル、編集、製作主任(進行係)これは製作予算のワク内で会計及び撮影の進行を受持つのです。

 ここで第一段階のプロデューサーについて一寸詳しく説明をしておきましょう。

 プロデューサーとは一口に云えばどんな映画を作るかを思いつく着想家です。と同時に、映画が三ヶ月〜半年先に封切られるその時の世間の興味や流行、大きく国際情勢による国内の影響等、鋭敏な時代感覚をもっていなければならない。ところで日本ではゼネラル・プロデューサーを製作者、一般プロデューサーを企画者と云われ両者を含めて広い意味で四種に分類出来る。

 

企画室で打合せ中の雷蔵さん

 @経営(社長・重役)プロデューサーこれは永田社長等この種に属する。A小プロダクションの独立プロデューサー。B監督プロデューサー、これは黒澤明、木下恵介等この種に属する。C雇われプロデューサー、これは撮影所の企画部に籍を置き、連続小説、連続放送劇、雑誌、小説、漫画と映画になるものをさがす。

 さて雷蔵さんは年間三本のプロデュース作品を認められましたが、良い作品が期待出来るわけですね。

 今回はここで終ります。次回は、撮影開始までの各部の働きについてお話致したいと思います。(筆者 森本房太郎)

大変説明が簡単ですが、皆様によくわかる様にと雷蔵さんのマネジャー森本氏にわざわざお願いして書いていただいたものです。これを読んでいくらかでも雷蔵さんのお仕事を理解していただきたいと存じます。