歌舞伎復帰と結婚?
ウワサの市川雷蔵にきく


意中の人はいない 大映とは二年間の再契約


 大映京都の市川雷蔵は昭和二十九年『花の虎白隊』で銀幕にデビューしてから丸四年、このほどクランク・インした『七番目の密使』で作品数四十五本を数える名実ともに時代劇のトップスターである。

 ところが、昨年暮から彼の歌舞伎復帰と結婚説がとかくウワサされるようになった。彼は人も知る関西歌舞伎の大御所市川寿海の御曹子、しかも本年二十六才の結婚適齢期。こうした所からくだんの二説が生まれたものであろう。そこで市川雷蔵を自宅に訪ね、この問題をはじめ、今後のことなどを聞いてみた。

事情が許せば舞台をつとめたい

 昭和二十九年に三年間の契約で大映入りしましてね。もち論、最初から舞台も考慮するという条件でね。ところが次から次へ映画の仕事に追い回されて、舞台どころではありませんでしたよ。去年の暮(三十二年暮)に最初の契約がきれたでしょう。そういうところから歌舞伎関係者が憶測して、僕が歌舞伎に復帰するんじゃないかなんていい出したらしいんです。僕は去年の暮の契約きれと同時に、大映とまた向う二年間の再契約をしました。

 舞台については僕も日ごろから考えています。映画俳優ではあるが映画のスケジュールの合間をぬって、許される限り舞台に立って勉強をしなくてはいけないとね。それも事情が許せば、親父(寿海)と一緒に舞台をつとめたいものです。

 今年の始めごろだったかな・・・僕の仕事が毎年七、八月ごろが割にヒマなので、親父と僕が主役で演れる演し物を、東京のどこかの劇場で演ろうかと話し合ったことがあるんです。ところが親父の方が例年七、八月は休むことになっているということで、残念ですが流れてしまいました。しかし、親父との舞台はあきらめても、八月ごろに、他の人との舞台話があれば、演し物の内容いかんで舞台に立つようになるかもしれません。