マゲ姿 バリバリの近代人


刀は「先三寸」で切る

 お会いしたのはセットの中、深山幽谷とおぼしい場面。しかしちょっと錯覚を起こしたのではないかと思った。というのはほかでもない。彼雷蔵さんがバリバリの近代人で、そのメーキャップというものを忘れさせるほど、強い個性の持ち主であったからだ。例えばこうだ。

 雷蔵さんの持っている刀は、竹光ではなしの正真正銘のギラリ光る業物。もっとも刃止めがしてあるので、よほどひどくたたかないかぎり、切れるわけのものではないが、ふん装のままこれを右手にだらりと下げると、いかにも不気味な感じを受ける。ところが雷蔵さんの刀剣談義は一風変っている。