女は可愛げが・・・

淡谷: こうしてお会いすると、映画で見るよりずっとお若いんで、びっくりしました。(笑)いったいお幾つ?

雷蔵: 満で二十八です。

淡谷: へェー、ずいぶん若く見えるわ。すると結婚適齢期ね。恋愛はもう経験ずみでしょう?

雷蔵: ないこともないです。(笑)

淡谷: 男が二十七、八にもなって、恋愛しないってのはいけませんよ。(笑)芸のためにも絶対必要、でも得恋ばかりしてちゃあ甘くなってダメね。すこしはシブくならないと。(笑)

雷蔵: 得恋にしろ失恋にしろ、しっぱなしはいけませんね。してもいいから、あとで、なにか身につけるようでなくちゃあ。(笑)

淡谷: つまり失恋したために、自分がスポイルされなければいいのよ。

雷蔵: それは本人の心がけ次第かな。

淡谷: 雷蔵さんは今のところ結婚する意志はないの?

雷蔵: もう一、二年はしたくないです。

淡谷: ミスユニバースの児島明子さんみたいなタイプは?

雷蔵: あの人、昆虫みたいな顔でしょう?(笑)だからあんまり・・・。

淡谷: 私、日本古来の美しさってものにとても惹かれるんです。だから日本映画を見る時は、時代物ね、現代劇はあんまりどうも・・・(笑)雷蔵さんは自分の役柄として、どういう線を狙ってるんですか。

雷蔵: 純然たる二枚目より、二枚目半くらいがいいですね。そのほうが役柄に人間味が出てくるから・・・。

淡谷: みんなが二枚目を希望してるのに。(笑)外国の俳優さんではどんな人が好き?

雷蔵: ジェームス・スチュアートとか、ヘンリー・フォンダとか。

淡谷: じゃあ女優さんのほうは?

雷蔵: 女優さんなら、たいがい好きですね。(笑)

淡谷: みんな好きでも、特にだれが?

雷蔵: だれでしょうねえ。(笑)

淡谷: キム・ノヴァックなんかどう。

雷蔵: 好きでも嫌いでもないですね。

淡谷: 私、ラナ・ターナーもいいなと思ってたんですけど、キムが一番好き。

雷蔵: 僕は、ジャクリーヌ・ササールなんか好きですよ。

淡谷: なるほど。(笑)ドモンジョは?

雷蔵: ドモンジョよりパスカル・プティの方がいいですね。かわいらしいのは、アメリカの女優さんより、欧州ですね。

淡谷: アメリカの方は、あんまり盛大な感じでねえ。(笑)

雷蔵: グッとこないんですよ。(笑)

淡谷: いくつになっても、女は可愛気がなくちゃ駄目ね。この間も、漫画家の近藤日出造さんに「君は若いころずいぶんスゴンでたねえ」なんていわれたけれど、若いときは、早く大人になりたいと思って、つい、つまさき立ってしまうのね。(笑)