大映の人気スター、市川雷蔵と大映映画社長永田雅一氏の養女に当たる遠田恭子さん(21歳)との婚約は、すでに本誌先週号(新年特大号)で、本誌独占ニュースとして報じたように、去る12月28日、東京、ホテル・ニュージャパンにおける記者会見で、永田雅一社長より正式に発表された。

 京都からこの日のためにかけつけた市川雷蔵は、婚約者の遠田恭子さんともども記者会見にのぞみ、仲人の大日本精糖社長藤山勝彦氏につきそわれて、その喜びを語った。

 これはその日、喜びに沸く記者会見のときの誌上ルポである。

頬をそめた恭子さん

−雷蔵さん、恭子さんとはいつごろからのお知り合いですか。

雷蔵 一部の新聞によると『炎上』の撮影中からと書いてありましたが、あれは大変なまちがいです。(笑)ほんとうは、ここ一年以内ですよ。ね。

 雷蔵はそういって、かたわらの恭子さんとうなずき合う。十二月二十八日、午後一時きっかりに、二人はホテル・ニュージャパン二階の記者会見室に姿を見せた。雷蔵の父、市川寿海氏、大映社長永田雅一氏につきそわれて、雷蔵は黒い背広にシルバーグレイのネクタイという正装。それでもふだんと変わらずに気さくに微笑している雷蔵によりそうように、恭子さんが母光子さんとやってくる。

−どういうきっかけでお知り合いになったんですか。

雷蔵 ぼくがハワイでお世話になった木村さんというかたがいらっしゃるんです。ハワイで国際劇場を経営しておられるかたですが、その木村さんが日本へ旅行にいらしたんです。そして恭子さんといっしょに撮影所に見えた『大菩薩峠』の撮影中でした。ね。

 と優しく問うように恭子さんを見つめる雷蔵に、

恭子 ええ・・・。

 と顔を染めてうなずく恭子さん。

雷蔵 そのときお会いしたのがはじめてです。正確にいうと、去年の十月だったかな・・・。

−そのときの第一印象はどうでしたか。

雷蔵 第一印象なんて、ございませんね、あまり。(笑)そのときは恭子さんは、案内役で、主賓はハワイのお嬢さんでしたから。(笑)

 なごやかな笑いをまき起こしながら、雷蔵はひとことごとに恭子さんをいたわるような目−。この日の恭子さんは、あざやかな青のツーピースに、真珠のネックレスという清潔なスタイル。左手のくすり指にダイアモンドの婚約指輪がきらりと光っていた。