なんでも、しゃべりましょう


       

テレビに意欲はない

 山本 テレビはどう思われますか?

 市川 テレビにはクイズ番組のゲスト以外出たことはありませんね。

 山本 会社のほうの関係で出られないのですか?

 市川 出られないらしい。

 山本 もし出られるとしたら意欲はおありですか?

 市川 そうですね。テレビは映画と違いますからね。似ているがぼくには感心できない。テレビをやるくらいなら舞台をやりたいんです。

 山本 そろそろ、そんなお話があるわけですか?

 市川 ええ、この八月、父の寿海と大阪の新歌舞伎座でやる話があるんです。

 山本 歌舞伎ですか?

 市川 いいえ、歌舞伎でもなく、新劇でもない、そういうものをねらっているんです。

 山本 寿海さんは、昔からなかなか新しいことをやっていらした方だそうですね?

 市川 さしずめ考えているのはイージーですが『ぼんち』を劇化してやりたいと思いますし、それに近松もの一つ、その他三島(由紀夫)さんの「近代能楽集」、木下順二さんのものとか、いろいろ考えているんです。そういう中間的というか、なにか違った演劇をやりたいですね。

 山本 いま、みなさんがそこをねらっているようですが、いろいろやっていただきたい。

 市川 長谷川(一夫)先生や森繁さんが舞台でやっていらっしゃることとは、またちょっとちがったことをやりたいというのですから、むずかしいですよ。