日本映画俳優協会・機関紙(02/57)

 青年部も、一昨年十二月に発足以来、一年目を迎える事が出来た。青年部という、関西映画界の青年俳優による組織が創られたことは、あらゆる点で、話題でもあり、その動向は、古き都の、新しい胎動として注視されてきた。

 来し方の一年を回顧して、幹事である、市川雷蔵・北上弥太郎・東千代之介・阿井美千子さんの四人に集ってもらって、青年部発足一年の、よもやまを話してもらった。

司会: もうすぐ一年になりますね。

雷蔵: 早いもんだな。もう一年だものね。

北上: この一年間、あまり華々しいこともやれず、幹事としザンキに耐えんナ(笑)

東  : まア、野球をやったのが、一番意義のある行事だろう。

雷蔵: そうだよ。一応、青年部が自主的にやったという点で、野球も成果があった。それよりも京都の時代劇で仕事をする、我々若い者たちが、オレ、お前の間柄で、話し合える場を持ったということが、最大の収穫だと云えるだろう。

北上: それはたしかだ。とにかく青年部が出来る迄は、せいぜい雑誌の組合せ写真位で、顔を合わせる程度だったからナ。雑誌では、結局仲良しぶりを発揮しているが、御当人同士は「初めまして、よろしく」というところだったんだからネ。(笑)

東  : 青年部が、出来てから、ずいぶん友人が出来た。酒を飲むにしろ、冗談を叩き合うにしろ、こうして、何時も、顔が会っているということは、お互いの勉強にもなる。

雷蔵: 一年前に、東さんと、やはり雑誌の組合せ写真で、顔合せをした。その時に、我々が、気楽に話し合える場を作ろうじゃないか、という話が出た。具体化は早かったネ。

北上: 皆が、それを希望していたわけなんだから、まとまりも早かった。何時も考えていたんだよねェ。僕たちばかりでなくシナリオ・ライターの人や、監督さんを囲んで、いろいろと話しがしてみたい、仕事の場で云えないことも、話し合って、教えてもらって、勉強の資にしたい、と常に思ってはいたんだが、個々ではとうてい実現しない。

雷蔵: シナリオ・ライターの方々との勉強会もやったし、為になった。今後、この種の催しは活発化したいネ。

東  : 野球も、別に青年部の挙行としてやったわけじゃないからネ。

北上: そうだよ。まア、僕等が集って、お茶の一杯も飲むしても、些かも、お互いの懐中をイタめることなく、気楽にやって行きたい。その意味で資金カンパだったんだから・・・

東  : 東京の若い人達にも、是非青年部を作ってもらいたいナ。