両立はむずかしい

勝 おれはだけど、違うとおもうな(笑)

市川 たのもしいと思ったら女はほれるんだよ。

 たのもしいと思ったか、帰ってきいてみよう(笑)

市川 「不知火検校」やらなかったら、玉緒ちゃんあんたのとこへ行こうと思わなかったかもしれんよ(笑)

 あれからかなあ、ほれたのは・・・。

市川 好きになるというのは、やはり、君がすばらしい仕事をするからだよ。その前はおれにほれていたかも知れんよ(笑)

 まあ、帰ってきいてみよう(笑)

市川 それによって家庭というもの、経済というものが成り立つんだから・・・何でもかんでもあの人が好きだからといって、一銭の収入もない人と結婚するか。

勝 現在の日本では共稼ぎ夫婦というのは多いね。ケースは違うけど、おれの場合、なにもみえでいうんじゃないが、共稼ぎとして見られるのだったらやめさせるよ。現在のところ八月まで契約があるから出てるわけで、何といったって、奥さんになれば仕事が中途半端、家庭も中途半端になると思う。これが一年もたって、おれのくせも何から何まで分って・・・分ってはいるだろうけどもう一つ分ってから映画に出るなら安心だがね。でも今は映画に出て、おれが早く終っちゃった、まだ自分は仕事をしている。きっと機嫌が悪いんじゃないかと思って仕事をしたんじゃ当人もつらいだろうし、おれにしたって、こんなにおそくなりやがってと怒ったとこで仕事だからしようがない。その怒りをおさえてしまう。だけど今はしようがない、契約してるんだからがまんしている。そういうものが積り積もってくると、やはり、よくないと思う。だから、やるのなら、おばあさんになってから映画に出てもいいんだ。一年に一本でも五年に一本でも・・・なんでもかんでも出ろということじゃない、今は契約があるから出てるけど。

市川 そういう契約の問題がなければ、できるだけ仕事はしてもらいたくないという気持?

 うん、やめろというんじゃない。おれも玉緒ちゃんの映画見てるのは好きだから・・・ただ、なんでもかんでもやるんでは・・・まして女優さんというのは、おれは奥さんの場合、何時頃起きるのかも知らないけれど、とにかく目がさめたらいないだろう。きっと、そういうことでは玉緒ちゃんもたいへんだと思うんだよ。だから苦痛になってまでしてほしくはない。今のままだったら苦痛になってくると思う。おれのペースをがまんしてまで仕事をさせたくない。