若いということ

  

 映画俳優という特殊の職業にたずさわっていると、一般の人たちより季節感が二、三ヵ月も早く、一層のあわただしい気がする。

 たとえば、雑誌の仕事などでは、春にはもう夏姿、夏には秋の服装、来月にでもなればもうクリスマスの写真をとられたりする。また、撮影の方もいま出演中の『かげろう絵図』は十月一週封切予定というのに、八月のはじめからやっているという状態である。

 そのような気ぜわしい今日このごろ、私は先月末に二十八回目の誕生日を迎えた。今年の誕生日に痛感したことは、自分もまだ若いと思っているうちに、あと二年たてばもう二十代ともおさらばだということで、なおさら追い立てられるような気がする。いま一層充実した一日、一日を送らねばならない、と心ひそかに誓ったものである。