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若君様 青春対談
お姫様

『鬼斬り若様』の市川雷蔵と八潮悠子

 
 

 若様役では、今や名実ともに時代劇のナンバー・ワンになった市川雷蔵の松平七長郎に、時代劇初出演で百合というお姫様になる八潮悠子とが、顔を合せた大映『鬼斬り若様』(安田公義監督)の撮影中の一休みに、雷蔵の部屋でこの若い二人の対談を聞いてみた。

 

雷蔵: 八潮さん、時代劇初出演の感想は?

八潮: ええ、とても大変。どうして、私なんかにこんなお姫様の役が廻って来たのか、いまだに判らないですよ。京都へ来てからというもの、暇さえあれば時代劇ばかり見てまわっているんです。

雷蔵: それが本当の泥縄だな(笑)

八潮: 雷蔵さんがお姫様になった方が、私より女らしいんじゃないかしら。ほら、この間も歩き方を教えて下さったでしょう。すっかり感心しちゃった。本当に文字通り第一歩から習っているんでは、ますます自信がなくなっちゃうわ。

雷蔵: ボクも今度の松平長七郎は、何しろ今までの「次男坊物」より、ずっと身分の高い若様でしょう。うっかりしていると、地の雷蔵が出てしまいそうで、気分を出すのに苦労していますよ。

八潮:でも、時代劇って楽しいですね。そりゃ、お仕度に二時間はタップリかかりますけど、自分がだんだんお姫様らしく綺麗になって行くのを見ているのは、楽しいですわ。はん子さんもそう云ってらしたけど