川喜多賞

　映画を通して国際間の友好に努めた故・川喜多長政、かしこ夫妻と川喜多和子の親娘二代にわたる業績を記念して1983年に創設。日本映画の芸術文化の発展、映画を通じての国際交流に顕著な功績を残した個人・団体に贈られる。贈賞式は毎年7月27日のかしこ夫人の命日に開催される。

　戦前より東和商事（現・東宝東和）で数々の優れたヨーロッパ映画を日本に輸入するかたわら、日本映画の海外への紹介や「アート・シアター」運動、「フィルム・ライブラリー」運動にも先駆的な役割を果した川喜多かしこ（1908-1993）。その生誕100周年にあたる2008年、フィルムセンターと川喜多記念映画文化財団は、東和が配給したヨーロッパ映画約60本を上映する「川喜多かしことヨーロッパ映画の黄金時代」、かしこ夫人の功績と生涯を関連の資料で振り返る「川喜多かしこ展」を開催するとともに、国際交流基金との共同主催による日本映画の海外巡回プログラム“A Wreath for Madame Kawakita”を実施してきました。
　「マダム・カワキタへの花束」と題したこのプログラムは、過去に川喜多賞を受賞した映画監督8人の代表作を世界各国の映画祭やシネマテーク、フィルム・アーカイブなどで巡回上映するもので、2008年5月のカンヌ国際映画祭を皮切りに2009年7月の香港電影資料館まで７カ国11カ所で記念上映を開催して好評を博しました。その凱旋企画ともいうべき本特集では、『野良犬』（1949年）から『山中常盤』（2004年）まで計16作品を英語字幕付プリントで上映します。
　皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。