昭和二十六年度新鋭人気俳優

市川雷蔵
岩井半四郎
市川松蔦
 

 

 

 

 

幕間第四回歌舞伎若手人気投票発表

 

 そして二十六年度では、@鶴之助 A雷蔵 B扇雀 C仁左衛門 D鴈治郎となっている。雷蔵の得票数は125票、“よかった役”は「桐一葉」の秀頼の68、「源氏物語」の頭中将45、「五人男」の赤星十三郎という順である。

 ぼく自身、その結果を見て綴った一文に次のように書いている(「幕間」52年2月号)・・・西に関しては、私達で、扇雀(「少将滋幹の母」の滋幹で)、仁左衛門(襲名で)、鶴之助、鴈治郎、延二郎と立てた予想を裏切られ、鶴、雷、扇と上位三位を文字通り新鋭で占めたのは関西らしい。東の人にはわからないだろう。例によって前年の一位は凋落すると思ったが、寿海の養子となり雷蔵と改名した余勢をかりて二位に留まった莚蔵は、親の七光とはいえ彼自身の精進もあろう。一、三位となった二人は「鶴扇時代」という言葉さえ生んだ時であるから、別段異とする事もない。・・・しかし、彼等にしてもこれを自分の真の人気とは考えていないだろう。二十代の人々に対する投票は全く努力賞を意味している。それだけに彼等に対する期待も大きいのだ。(権藤芳一)