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 監督・増村保造、脚本・白坂依志夫、撮影・村井博と、大映の時代劇トリオが取り組む京都作品『好色一代男』は、市川雷蔵、若尾文子、中村玉緒の主演でこのほどクランクインを開始したが、映画界きっての毒舌家増村監督と、いまや時代劇女優のナンバー・ワン的存在になった中村玉緒の初顔合わせは、とくにスタジオ・マンの注目を集めた。

 玉緒の役は、北国の漁師町の網元の情婦お町で、雷蔵の世之介と命がけの恋をする女。「勘当されてうらぶれた世之介が、ひょっこり北国の町に現われる。おちぶれたといっても天リンの美男子で都会的な教養もある世之介だから、この色目にお町はコロリと参ってしまう。二人は前後の見境もなく駆け落ちして、ついにお町はむごたらしく輪姦されたあげくに、自害して果ててしまう。まア、一口にいえばかわいそうな女ですよ。玉緒さんの熱っぽい演技を期待しているんですが・・・」と増村監督。初対面にもかかわらず、彼女の演技力には、なかなかの信頼を寄せている。

 今年は年明けそうそう、永田社長から社長賞をもらったり、ブルーリボン、ホワイト・ブロンズ、福岡映画記者会から助演女優賞をもらうなど、大いにツキまくっている玉緒は、「いろいろな賞をいただいて最初のお仕事がこの『好色一代男』です。それだけに恥ずかしくないお仕事をと思っています。女優さんでは、若尾さんや水谷良重さんなど、芸達者な方が出られるので、とくに見劣りのしないようがんばるつもりです。増村先生の作品は『偽大学生』などとくに興味ぶかく拝見していました。時代劇でどんなことをされるか、先生のイメージ通りに演技ができればいいのですが・・・」と大はりきり。ことしは大いに芸の幅をひろげるつもりだが、その点、増村監督といっしょに仕事ができるのは何か幸先がいいと、つぶらな目に強い意欲を光らせている。

 (02/15/61)