比沙子(越路吹雪)
『ぼんち』
をめぐる五人の女。その五人目の女は、比沙子であった。芸者遊びしかしたことのない喜久治が、ある日珍しくカフェー赤玉に遊んだ。着飾った女ばかり見なれている彼は、すんなり伸びたような比沙子の脚がもの珍しく見えた。彼女は、異常なほどの競馬狂だった。
「馬、競走馬、馬券やのうて、今度は自分が馬主になってみたいわ」
「よっしゃ、ええのを探しときなはれ」
喜久治は、競走馬ワインレッドを彼女に買ってやるハメになってしまった。