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 大映京都の『大菩薩峠・完結篇』は三隅研次監督から森一生監督へひきつがれ、いま撮影の真っ最中だが、このほど机竜之助の市川雷蔵、矢島ひろ子らで洛西鳴滝付近の山中ロケを行なった。

 道中師がんりきの百にだまされ、山中におびきだされた竜之助は、がんりきの片腕を切りおとしたものの、目の不自由がわざわいして、ガケ下におちる。意識を失っている竜之助は、山の女お徳(矢島ひろ子)に救われ、馬にのせられて山道をおりてゆく。このシーンの撮影で、ハダカウマにのった雷蔵は、テストの間は目があいているから体が安定しているが、本番になって目をふさいだとたんに、グラグラときて不安定になる。そのたびに矢島ひろ子は、馬の手綱をグッとひきしめている。

 いつもは毒舌で知られる雷蔵も馬の上で、しかも盲目とあって、きわめて低姿勢。「矢島さん、あなただけが頼りですよ。馬の手綱をよくひきしめていてくださいネ。こんな山道で、ちょっとグラッときても、お芝居と同様谷底へおちてしまうから、しっかりしていてくださいね。」

 

サンスポ・大阪版 04/27/61