(写真は対談中の比佐氏と市川雷蔵とやくざに扮した雷蔵)

激励したり・されたり対談

初対面はろく、七年前 京都のスキヤキ屋で

雷蔵: はい・・・で、最前からいおうかいうまいか迷ってたんですが、やっぱりいってしまいます。先生には以前お会いしたことがあるんですよ。

比佐: ああ、長谷川一夫さんの楽屋でだろう?

雷蔵: いや、もっとずっと前のことです。

比佐: そっかね、覚えてないわ。

雷蔵: もう六、七年になりますか、京都寺町の“両国”っていうrスキヤキ屋で。

比佐: えッ?(とマジマジと雷蔵をみつめて)ああ、あのときのニキビだらけのやせっぽちが君か、眼で思いだしたよ。

雷蔵: ええ「こんな小っちゃなの、あかん、ものにならん」っていわれたのがボクです。そのためにも“でかした雷蔵”といわれなければと、映画が出来上がってから打ち明けようと、内心期するところがあったものですから。

比佐: そうかい、あのときは確か南座で武智歌舞伎の研修会があって、“両国”のおかみにものなりそうなのがいるからっていわれて、君に会ったんだっけ、いやあまったくやりきれんなあ(笑)。

雷蔵: これもなにかの縁だと思って、よろしくお願いします。

比佐: ボクは迷信とか神仏は信じたくないけど、なにか目に見えない糸があるんだね。縁とはふしぎなもんだ、こりゃ、雷蔵クンに水臭うできんようになったぞ(笑)。