新しい年を迎えて人々は例年のように今年一年の抱負を描き、そして実現への決意をみなぎらせ大いにハリキる。映画スターももちろんこの例にもれない。もれないどころか一作一作が人気のバロメーターの針に直結するせち辛い商売だけに真剣そのものである。

 ところで今年のホープはダレとダレか、54年の錦之助の驚異的進出に競うものはダレ、邦画各社の新人中特にこれという文字通りのホープを採上げてみよう。

 まもなく本読者呼応しての恒例の映画スター人気投票55年の幕がきって落されるが、今年は昨年にもまして新出スターの新出が期待されるとなれば、このスターのうちからわが生涯の輝ける年を飾るびは果してダレであろうか、興味ある展望である。

 

 大映は、市川雷蔵、川崎敬三、市川和子、小町瑠美子などだ。雷蔵は市川九団次の実子で(ママ)、市川寿海の養子となり、七代目市川雷蔵(ママ)を襲名した関西歌舞伎界のホープである。映画には昨年『花の白虎隊』でデビューし、ついで『幽霊大名』に長谷川一夫を相手に堂々たる演技を示し、時代劇の若手スターが貧困な日本映画界にあって、もっとも未来を楽しまれている。演技、セリフともにまだ歌舞伎臭が抜けぬが、それがかえって若い彼に貫録を与え、『千姫』の秀頼なども、京マチ子にくらべてなんら遜色はなかった。歌舞伎と映画のかけもちでは相当な過労であるが、大いにがんばってもらいたい。

 川崎敬三は、昨年七月に大映入社してすぐに、『こんな奥様みたことない』に主演、線の細い好青年タイプだ。菅原、根上につぐ大映現代劇ホープとして今年の活躍を期待していい。

 市川和子は、まだ十五才の少女。『真白き富士の嶺』にデビューし、その可憐なタイプで好感を持たれた。『蛍の光』には若尾文子の妹に扮して可愛い姿をみせた。

 小町瑠美子は台北生れの十九才。OSKから大映に移り、『花の白虎隊』でデビューし、『お富さん』でお富に扮し、仇っぽさで注目をひいた。大映京都で三田登喜子につぐホープ。

 

 

 

 東宝に移ると、久保明、宝田明、司葉子、青山京子というところ。久保は、二十七年『思春期』にデビューしていろんな映画にでていたが、昨年の『潮騒』でスターダムへとびこんだ。今年の活躍が彼にとってスター街道を驀進するかの境目となろう。

 宝田明は昨年、『かくて自由の鐘は鳴る』でデビュー。ボリュームのある身体をしているから、努力しだいで大物になりそう。

 司葉子は、某放送局の社長秘書をしていたのを、その天性の美貌から某紙のカバー・ガールに撮られたところ、東宝に目をつけられてむりやりに口説かれ、『君死に給うことなかれ』にデビュー。一作でスターになった。もっとも未来を嘱望される新人女優である。

 青山京子は久保明と同じコースをたどり、『潮騒』でスターダムにのし上った。今年の活躍は期待される。

 

 

 新東宝は、若山富三郎、高島忠夫、筑紫あけみ、久保菜穂子である。

 若山は長唄の師匠で、大映の勝新太郎の実兄である。大谷友右衛門一人に頼っている新東宝時代劇で、大いに売りだそうというわけである。

 高島忠夫は、新東宝の第一回ニュー・フェイスとして二十六年に入社し、『恋の応援団長』でデビュー以来、新東宝の若手陣のホープとして大いに力を入れられていたが、今年は鶴田浩二級にしようと、会社の意気ごみも非常なものがある。学生時代アルバイトでジャズ楽団をつくり、ドラムをたたいていたのが幸いして、歌も歌え、楽器も扱えるので重宝がられている。

 筑紫あけみは、二十七年の第二回ニュー・フェイスとして入社。二十九年『花と波濤』にデビューしてから、堅実に地歩を固め、新東宝新人群中もっとも期待されている。

 久保菜穂子は、高島と同期入社。現代劇、時代劇に活躍してきた。一般受けする顔立ちではないが、演技女優としての地歩を固めていけば伸びるだろう。