新聞切抜A
立回りに新手の登場
大映
京都『薄桜記』(森一生監督)で市川雷蔵、松竹
京都『お夏捕物帖・月夜に消えた女』(萩原遼監督)で嵯峨三智子がそれぞれ新趣向の立回りを演じて、話題を集めている。
雷蔵の役は剣の達人丹下典膳、一方嵯峨のほうは女目明しであるが、いずれも時代劇に生きるスターらしく、大変なはりきりかた。 その熱演する姿をセットに追ってみた。 |
『薄桜記』での丹下典膳は物語の途中で右腕を切り落され、以後片手の“剣鬼”として登場、おまけに最後のクライマックスでは片足を射ち抜かれ、寝たまま立回ることになる。つまり“三段剣法”で、これは伊藤大輔の脚本によって考え出されたもの。 しかし、片手ならともかく寝たままの立回りには殺陣師も弱り、結局居合抜きの型から応用できそうな型を二、三種類選んで、新しい殺陣を考え出したという。 演じる雷蔵も難行で、片手剣法では切り落されたはずの右手が思わずでてしまったり、寝ころんだままの太刀さばきでは、体を右、左に横転させながら群がる敵を斬りふせるので、体中スリ傷だらけ。それだけにまたすご味のある迫力を感じさせる立回りでもあった。
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