初秋の候と相なりやっと涼しくなったのに真夏の話でもないでしょう・・・とおっしゃらず御一読ください。今まで会誌にロケの様子を紹介した事がないから・・・と東京を出る時から折り込まれたプランだけに、どうしても記事を物にしなければならないと、万難をはいしても雷蔵さんのお仕事中のロケ地へ乗り込む決心をしました。
夏の某日殺人的な暑さ、この炎天下ロケも楽ではないわい、と思っていると「今日は山の奥で落合と云う所がロケ地ですよ、これがねェ、山越えしなければならず、大変遠いけど、どうしますか」と森本さんよりの連絡。山の中ならいくらかでも涼しいだろうし、又とない大がかりなロケが見られる。これはいいネタになる。「行きます」と云う事でさっそく出掛ける準備にかかる。
雷蔵さんはこの日朝八時にはロケ現場に出発しているとの事、扮装するのが一時間としても朝の六時には起きなければならない。朝寝坊の私にはまだ夜中、おっと私的な事はいけませんよね、では出発します。なにしろここは、ハイキングコースの場所だけあって、景色はよろしい。登ったり、下りたり、林をぬけたり、岩場を通ったり。京都特有のカラ松の路々を幾曲りも曲って、やっと、ガヤガヤ声のするロケ現場につく。
近代的なおおよそこの山中にふさわしからぬ橋の所で車を降りる。さてこの場所は、清滝川と保津川の合流点、地名は落合。なるほどとうなずける渓谷である。この保津川をさかのぼると亀岡に通じ、わかりやすく云えばつまり、嵐山の裏側と思えばいいですよ。ロケ地はと見ると、これは又せまい所です。川の流れによって作られた州とでもいいましょうか、砂利の多い、一方を大きな岩石にさえぎられた所です。ここに、スタッフ、キャストで七-八十人の人達がうろうろ。まさにロケの真っ最中です。
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