発会式こぼれ話

★・・・日曜日の東京駅の朝、なんとなく静かです。十時「あさかぜ」着と同時にどこからあらわれたのか、雑誌社のカメラマンが二、三人。ホームに降りた雷蔵さんにフラッシュをたく、一般のお客さん、何事かとあたりをキョロキョロ見まわしていましたが、映画スター市川雷蔵とは一人も気づく人もない。

(近代映画58年1月号より)

★・・・会場二階控室には、雷蔵さんの他に大映関係の方達だけで、ひっそり。「今日は外へ出るんでしょ?こんないい天気は外にかぎるね」と話かけられ、一瞬胸がどきどき。露出をまちがえてもう一枚とり直し。

★・・・控室があんまりひっそりしているので、「今日は来賓の方は誰も来ないの?」なんて云われ会場へ入ろうとすると、錦ちゃんが到着。その時の雷蔵さんのなんともいえない嬉しそうな顔 ー 、やれやれ。

★・・・プログラムが進んでしばらくすると向って左側の会員さんから、「雷蔵さん、ちっともっとこっちを見てくれない」と苦情しきり。雷蔵さんにその事を注意すると、テーブルに置いてある花を指して「これが邪魔なんや」・・・とはテレかくし。