眠狂四郎円月斬り

1964年5月23日(土)公開/1時間25分大映京都/カラーシネマスコープ

併映:「獣の戯れ」(富本壮吉/若尾文子・伊藤孝雄)

企画 辻久一
監督 安田公義
原作 柴田錬三郎
脚本 星川清司
撮影 牧浦地志
美術 加藤茂
照明 岡本健一
録音 大谷巌
音楽 斎藤一郎
助監督 黒田義之
スチール 西地正満
出演 浜田ゆう子(おきた)、東京子(小波)、丸井太郎(太十)、成田純一郎(片桐高之)、植村謙二郎(寄居勘兵衛)、佐々木孝丸(水野忠成)、伊達三郎(むささび伴蔵)、水原浩一(山崎屋伝右衛門)、南条新太郎(目明し弥吉)、毛利郁子(おてつ)、美吉かほる(お花)、若杉曜子(お六)、月宮於登女(松女)、原聖四郎(正木要)
惹句 『女も頂く、命も貰う愛を知らず、冴えて冷酷、円月殺法』『剣豪の血を凍りつかせ、女の肌を燃え上らせる斬って悔まず抱いて愛さぬ非情の瞳

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■ 解 説 ■

★無敵の剣円月殺法の持主、眠狂四郎はいまや市川雷蔵の当り芸として、こんどその三作目「眠狂四郎円月斬り」(総天然色)が製作されます。剣を地摺り下段にかまえ、円を描きはじめる独特の構え、そして完全に円を描き終るまでに相手をたおす−剣がまわりきるまで、もちこたえる者はないといわれる狂四郎の円月殺法は、本編に及んでいよいよ冴えわたり、これまで見なかった新しい作戦で幾多の強敵を倒すかたわら、狂四郎ムードの一つの特色ともいうべきエロチシズムも全編にあやしい色どりを添えます。

★第一作「眠狂四郎殺法帖」(監督田中徳三)、第二作「眠狂四郎勝負」(監督三隅研次)に次いで、この第三作「眠狂四郎円月斬り」は安田公義監督のメガホンによって、興趣いよいよ最高潮というところですが、主人公市川雷蔵の狂四郎をめぐる出演者の顔ぶれも、一作ごとにガラリと変えて、こんどは、女体の哀しさにもだえる水茶屋の女おきたに浜田ゆう子、狂四郎に犯されて彼を憎みつつもいつしかひかれて行く誇り高き腰元小波には、永田社長に見出された幸運の新人東京子、また狂四郎を父の仇と誤解して彼をねらううち、やがてその真情に打たれる百姓上りの若い人夫太十に時代劇初出演の丸井太郎などをはじめ、成田純一郎、植村謙二郎、伊達三郎、水原浩一、佐々木孝丸らの芸達者が顔をそろえるなど、新鮮で多彩な配役となっています。

★原作はいうまでもなく眠狂四郎の生みの親柴田錬三郎、脚本の星川清司、撮影の牧浦地志はいずれも第一作以来の手なれた顔ぶれで、いよいよ狂四郎ムード横溢といったところ、照明岡本健一、録音大谷巌、美術加藤茂、編集菅沼完ニらの一流スタッフで固めたもので、「座頭市喧嘩旅」で時代劇の面白さを十二分に生かした安田公義監督が、今度は「眠狂四郎円月斬り」でいかなる手法を展開させるか、期待多いものがあります。

★将軍の世子の座を狙う野望の母と子、これに便乗して未来の将軍御台所を夢見る美女、こうした政治的陰謀に真っ向から挑戦する狂四郎の身辺に、危機が相次いで襲いかかり、ここに凄絶かつ変化ある円月殺法が紹介され、最後に燃え崩れる橋上の大殺陣まで、息もつかせぬスリルと波乱に、息づまるようななまめかしい場面とがくりひろげられて行きます。(公開当時のプレスシートより)

■ 略 筋 ■

 将軍家斉の庶子片桐高之は、母松女の野望に駆り立てられ次期将軍の座を狙っていた。ある日高之は、新刀の試し斬りに川原で飢饉で地方から避難して来た百姓の老人を斬り殺した。ちょうどそこを通りかかった狂四郎は、それを目撃するが、老人の仲間からは誤解され憎しみを受け、また高之からも狙われることになった。

 そんな狂四郎はある日、高之の使の腰元小波の迎えを受け川舟へ案内された。そこで狂四郎は仕官をすすめられ、さらに愛刀無想正宗を所望されたが、狂四郎はこれを拒絶し、高之側近の剣客戸田の右腕を斬り落して立去った。

 小波は豪商山崎屋伝右衛門の娘で、伝右衛門は小波に未来の将軍御台所の夢を托し、高之に経済的な援助を与えていた。そんな小波を高之も愛し、妻に迎える約束をしていた。一方狂四郎は高之の邸に忍び入り、小波を寝室に襲って犯した。

 憎悪に燃える小波は片桐家に恩義をこうむる剣客寄居勘兵衛を狂四郎の許へ送った。しかし狂四郎は勘兵衛の人物を惜しみながらもこれを斬り倒した。さらに高之は死刑囚むささびの伴蔵を釈放して狂四郎を倒そうとした。伴蔵の手裏剣と高之配下の剣士たちの殺陣をきり抜けた狂四郎は、そこで憎悪に燃えた小波を見た。

 一方高之のために試斬りにされた老人の忰太十は、復讐のために小波をさらったが、それを知った高之のために逆に捕われの身となってしまった。駆けつけた狂四郎は太十の命と引換えに無想正宗を高之に与え、自ら捕われの身となった。しかし狂四郎を憎みながらも女として愛すようになっていた小波に刀をもらった狂四郎は牢を脱走して向柳原の橋上で高之と対決した。狂四郎の剣が円を描き、その足下に高之はくずれ落ちた。(キネマ旬報より)

歴史読本1994年11月特別増刊号[スペシャル48]RAIZO 『眠狂四郎』の世界に詳しい。また、シリーズ映画「眠狂四郎シリーズ」参照。

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