眠狂四郎魔性剣

1965年5月1日(土)公開/1時間15分大映京都/カラーシネマスコープ

併映:「悪名幟」(田中徳三/勝新太郎・水谷良重)

監督 安田公義
原作 柴田錬三郎
脚本 星川清司
撮影 竹村康和
美術 加藤茂
照明 山下礼二郎
録音 大角正夫
音楽 斎藤一郎
助監督 渡辺実
スチール 藤岡輝夫
出演 嵯峨三智子(おりん)、長谷川待子(お艶)、須賀不二男(菊村下記)、明星雅子(お糸)、穂高のり子(佐絵)、若松和子(青華院)、稲葉義男(水野忠成)、須賀不二男(菊村外記)、北城寿太郎(赤石群兵衛)、五味龍太郎(紋部三郎太)、水原浩一(大工政五郎)、浅野進治郎(中森瀬左衛門)、伊達三郎(安西小十郎)
惹句 『罠と知りつつ魔性の肌を抱き、陶酔の一瞬に殺気を斬る』『一度は捨てた魔剣だが、死にたくば斬ってやる犯されたくば抱いてやる』『抱かんとすれば危機斬らんとすれば罠勝負は一瞬魔性の剣が飛ぶ

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■ 作品解説 ■

▼この映画『眠狂四郎魔性剣』(総天然色)は、大映のヒット・シリーズの一つ「眠狂四郎-」の第六作に当るもので、ゴールデン・ウィーク公開の娯楽作品です。

▼ものがたりは、大名の家に生まれながらも、妾腹の子として一度は殺されかかった鶴松が、岩代藩主に世継ぎの出来ぬところから再び伴れ戻されることになる。ところが、フトしたことからこの鶴松と知り合った狂四郎は、彼が養父の後を継いで江戸一番の大工になりたいという固い決意を抱いているばかりか、武士に激しい憎しみすら秘めていることを知って、この幼い望みを守ってやろうとする。お家断絶となっては失業するしかない藩士たちと、狂四郎に恨みをもつ女たち(手裏剣の名手おりん、毒蛇使いのお艶、尼僧など)が、あるときは不意をつき、あるときは色仕掛けでといった具合に、狂四郎との間に凄惨な斗いを繰り展げるといったもので、ゴールデン・ウィークならではの興趣満点の絶対娯楽篇だ。

▼キャストは、主演の狂四郎に、このシリーズの各監督が“邦画界でこの人以外には考えられない”という市川雷蔵が、狂四郎に兄を殺され、仇を狙う手裏剣の名手おりんにシリーズ初参加の嵯峨三智子、毒蛇使いの女、お艶に長谷川待子、鶴松の養父の娘お糸に明星雅子、おりんに頼まれ狂四郎を誘き寄せる尼僧青華院に若松和子、鶴松の乳母佐絵に穂高のり子といった新人、ベテランが、白い柔肌も露わに、狂四郎に挑み、互いに艶を競い合う。

▽スタッフは、「眠狂四郎-」シリーズの第三作目『眠狂四郎円月斬り』にうづいて二本目の安田公義監督、原作はお馴染みの柴田練三郎、脚本はこのシリーズ全てを手がけている星川清司、撮影は、竹村康和、録音大角正夫、照明、山下礼三郎、美術加藤茂といったベテラン揃いだけに狂四郎ムードにふさわしい肌目細かい作品が期待される。

■ 物 語 ■

 目の前をゆく貧しい葬列が、昨日の女のそれと知って、狂四郎は思わず息を呑んだ。生活のためといいながらも、武家育ちの誇りからか、能面を被ったまま自分を抱けと迫った病身の女、佐絵、何か曰くあり気だったが、一両という大金を投げ与えながら抱かずにそのまま帰ったこの俺に、この最後の誇りも踏みにじられてか、喉を突いて死んだという。狂四郎は、いま更ながら自分の業の深さに、ジワジワと肌の粟立つのを感じていた。

 そのときだった気配に、狂四郎は振り向きざま愛刀無想正宗を横なぎに払った。二つに裂けて足許に落ちたのは、なかに鋭い刃物を巧妙に仕込んだ花札で、確かな見覚えのあるものだった。果して、むき出しの斗志のまま狂四郎に近づいてきた一人の伝法肌の女、彼女は“あんたに殺された“むささびの伴蔵の妹おりん”と名乗るや、“隙を見せたら最後だよ”と捨てゼリフを残して人混みのなかへ姿を消してしまった。

 そんなある日、狂四郎は、おりんに導かれた信州は岩代藩の手のものに、いきなり浄閑寺の寝込みを襲われた。聞けば、狂四郎の預っている鶴松という少年は、妾腹の子ながら世継ぎのないいまは岩代藩の嫡子だからその身柄を引き渡せというのだ、狂四郎は驚いた。佐絵の自害した翌日、狂四郎宛の遺書と小判一両をもって、大工の娘お糸に連れられてきたときからただの少年ではないと見抜いてはいたが、十二万石の大名の子だったとは

 だが、狂四郎は、傍らに眠っているこのいたいけない少年を見ているうちに次第に憤りを覚えてきた。お家の大事と称して一度は殺そうとし、世継ぎの出来ぬいまは、乳母佐絵の生命がけの働きで逃げ隠れた鶴松を追って、力ずくで城へ連れ戻そうとする。尊い人間の生命がお家の都合とやらで左右されてよいものだろうかしかも、鶴松は、幼い心にも当時の恐怖心からか侍に対して激しい憎しみを抱いている−そうこの俺にもなかなか馴染まなかったではないか−そればかりか、養父の後を継いで江戸一番の大工になりたいと言っている!狂四郎は、無想正宗を抜いてウッソリと立ち上がった−。

 藩士の一人を斬って、岩代藩に追われることになった狂四郎は、鶴松をあのマムシのようなおりんの目の届かないところにと、ある舟宿の女将に預けることにした。だが、おりんの方が一枚上だった。彼女は、お糸を誘い出し、全裸にして異国人に犯させるなどして鶴松の隠れ家を聞き出すや、抵抗する女将や船頭たちを皆殺しにして、鶴松をうまく連れ出してしまったのだ。地団太を踏んだ狂四郎は、急いで中仙道に鶴松を追った。

 一方、狂四郎江戸を発つの報に、岩代藩の江戸家老、菊村外記は、彼を国許に入れぬよう随一の使い手、赤石群兵衛に迎え討たせるため早馬を駈けさせ、江戸からもまた追手をかけた。だが、おりんは彼らにとても狂四郎を倒せないのをみてとるや、昔の旅芸人仲間に語らって、先ず蛇使いの女、お艶に毒蛇で襲わせた。が、一瞬早く、耳鋭くはね起きた狂四郎に、首をはねられてしまった。口惜しがったおりんは、比丘尼の青華院を口説いて色仕掛けで狂四郎を誘き寄せ、ベッド・シーンの最中に得意の手裏剣を打とうとしたが、乳房も露らわな女体を楯に上手く防がれたばかりか、逆に取り押さえられて女としての最大の辱めを受けてしまった。この上はと、一座の花火師に作らせた爆薬入りの提灯を、芝居に仕組み、狂四郎に持たせるところまでは上手くいったが、爆発の瞬間に見破られて無為に終わってしまった。

 一方、狂四郎より一足早く城に辿りついた鶴松は、江戸へ帰りたいと駄々をこねて、座敷牢に入れられたが、見かねた老臣の娘綾路の手引きで町端れの森の中にある五重の塔に一時身を潜めた−。だが、頼みの綾路が追手に斬られてしまった。綾路は。苦しい息の下から、偶然通りかかった狂四郎の腰に吊った能面を見て、佐絵にゆかりのある人ならと、鶴松のことを懸命に托してコト切れた。狂四郎は、急いで鶴松の隠れ家へと駈けつけた。が、一足遅く塔は、おりんの報せで、十重、二十重に囲まれていた。それを見た狂四郎は、呼吸を整えると、おもむろに無想正宗を抜き払い、ゆっくりを前へ進んでいった・・・・。( 公開当時のプレスシートより )

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 歴史読本1994年11月特別増刊号[スペシャル48]RAIZO 『眠狂四郎』の世界に詳しい。また、シリーズ映画「眠狂四郎シリーズ」参照。

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