忍びの者 新・霧隠才蔵

1966年2月12日(土)公開/1時間27分大映京都/カラーシネマスコープ

併映:「東京忍者部隊」(弓削太郎/宇津井健・長谷川町子)

企画 財前定生、仲野和生
監督 森一生
脚本 高岩肇
撮影 今井ひろし
美術 太田誠一
照明 山下礼二郎
録音 大谷巌
音楽 斎藤一郎
助監督 大洲斉
スチール 小山田輝男
出演 藤村志保(あかね)、楠侑子(弥生)、田村高広(風魔大十郎)、千波丈太郎(鴉佐源太)、五味竜太郎(島津家久)、内田朝雄(音羽弥藤次)、佐々木孝丸(天海僧正)、小沢栄太郎(徳川家康)、水原浩一(本多正純)、伊達三郎(鈴鹿の陣内)、南條新太郎(徳川秀忠)、山本一郎(風魔猪之八)、尾上栄五郎(板倉勝重)、越川一(赤目の小六)、木村玄(滝口の黒造)、沖時男(斉藤源吾)、木村雪子(千姫)
惹句 『意外奪った家康の首は替え玉風魔忍者の秘術をくつがえす伊賀忍者の極意』『敵かと襲えば味方味方と思えば罠風魔の秘術か伊賀のかげろう忍法か』『陽炎の秘術か風魔の火術か裏の裏をかいて生死を逆転するおそるべき忍者の死斗』『迫るは風魔の火術対するは陽炎の陣妖艶、くの一忍者も秘術を尽して、才蔵の危機は果てしなく続く

         

■ 解 説 ■

 この映画『忍びの者 新・霧隠才蔵』(森一生監督)は、改めていうまでもなく、一作毎に奇想天外な忍者の活躍と、復讐へのあくなき執念を描いて、単に映画界のみにとどまらず、一種の社会現象としての忍者ブームを招いた大映が、娯楽時代劇の決定版として次々に製作を続けている<忍びの者>シリーズの第七作目に当る。

 ものがたりは、大阪夏の陣が終って、名実ともに天下を握った徳川家康に対し、七度び生まれ変っても復讐を誓った才蔵ら伊賀忍者の生き残りが駿府城奥深く忍び込んで家康を狙うが、敵もさるもの、武田信玄に仕えた乱波の子孫、風魔一族を幕下に加えて身辺警固を固める一方、徹底的な忍者狩りを行い、ここに源平の流れをそれぞれ汲む名誉をかけた忍者同志の死斗がくり拡げられるといったもので、殊に風魔一族の紅蓮の火術は、さすが才蔵十八番の霧隠れの術も文字通り霧消して役に立たず、おまけに敵方に内通するものが居て伊賀忍者は次々に消され、ついには才蔵ただ一人、天下を向こうに廻して孤独なる斗いを営々と続けていく様は、忍びの者ファンならずとも、胸を焦がすのに充分な内容。

 主人公の霧隠才蔵には勿論、市川雷蔵、忍者の掟を破って才蔵に身も心も捧げようとする“くの一”あかねに藤村志保、風魔一族の頭領風魔大十郎に雷蔵とは初顔合わせの田村高廣、徳川家康に小沢栄太郎、千姫の側女で、女だてらに長曾我部家の再興の野望を秘めた弥生に楠侑子、才蔵のよき同志鴉左源太に千波丈太郎といった異色の顔合わせ。

 監督は、忍びの者シリーズ三本目の森一生監督。脚本は、同シリーズ殆そ全てを担当した高岩肇、撮影は今井ひろしといったベテラン・トリオだけに、またまた新春早々話題を呼ぶ作品が期待されている。(公開当時のプレスシートより)

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■ 物 語 ■

 大阪夏の陣が終って、徳川の時代になった。七十四年の生涯を賭けて野望を果たした家康は、既に将軍職を秀忠に譲って自らは駿府の居城に引き籠り、背後から睨みを利かしてはいたが、その彼にも大きな悩みがあった。遠国にある大藩の動きもさることながら、夏の陣を堺にフッツリ姿を消した伊賀忍者の行方が皆目つかめないことだった。

 それもその筈、いまや栄光の世界から見放され復讐への自ずからのあくなき執念だけを拠所に、いよいよ孤独な斗いを続けねばならなくなった霧隠才蔵らは、いたずらに敵方を挑発することを避け駿府の町端れにある荒れ果てた寺の地下濠に潜んで派手に動き廻らなかったからだ。そこへ、かねてから“くの一”忍者として家康直参の侍から確かな情報を集めていたあかねが、駿府城の精しい見取図を持ってきた。才蔵は、遂に決起すべきときが来たとこおどりした。

 だが、城内の警戒は、思いの外厳しく、特に家康に招かれた風魔大十郎を首領とする風魔忍者の術は、伊賀者のそれを上まわる力を持っていた。才蔵らは、十八番の霧に隠れて、やっとの思いで家康の寝所に近づき、首尾よく彼の首級を上げて喜んだのも束の間、意外にもそれは替え玉であった。そればかりか、逆に罠に陥入れられ、才蔵だけが辛うじて大奥の一室へと逃げ込むことができた。追ってきた大十郎に部屋の女主人弥生は、何故か才蔵をかくまってくれた。不審顔の才蔵に、彼女は長曾我部盛親の姪で、千姫の供としてこの城に身を寄せてはいるが、折あらば家康を倒そうと狙っているのだと打ち明けた。そして所詮彼は、老衰から寿命は長くなく、むしろ近く見舞いにくる二代将軍秀忠を討つことこそ大事とまでいった。

 弥生の言も、もっともと考えた才蔵は、早速、その準備にかかった。だが、その頃から不思議なことが起った。弥生が白昼、家康の侍にさらわれ、ボディーガードの陣内が殺されたり、あかねと連絡をとっていた才蔵が、彼女が姿を消すや不意に風魔の一味に襲われて傷付いたり、果ては隠れ家地下濠まで爆破されるといった具合−。ここに至って、才蔵が片腕とも頼む鴉左源太までが、過日才蔵に烈しい恋を打ち明け、忍者の世界に真実の恋は許されないと冷たくはねつけられたあかねが恨んでの裏切りに違いないと強い語気でまくし立てた。

 あらぬ疑いをかけられたあかねは、せめて才蔵だけでも吾が身の潔白を信じて欲しいと、無謀にも単身、秀忠の行列に斬り込み、供侍に化けた風魔一族に忽ち捉えられてしまった。

 あかねの死を賭けた抗議に、才蔵と左源太らは、その夜一行の夜営地である洞窟へと忍び込み大きな犠牲を払って、あかねを助け出す。そのとき、才蔵は風魔の一味の中に弥生の姿を見つけて息を呑んだ。彼女こそ裏切りの張本人だった。アッと驚く左源太。その隙に背中から突き殺され、才蔵はあかねを被って命からがら逃げ出すのが精一杯だった。

 精鋭を誇った伊賀忍者も。いまやたったの二人、挫折感でいっぱいの才蔵に、追い打ちをかけるように当の家康が、病気で実に呆気なく死んだという報せが入った。これで、才蔵さまの仕事は終ったのね、と、あかねは期待に胸をふくらませたが、気を取り直した才蔵は、「家康が死んでも、徳川家はビクともしない。先ず恨み重なる大十郎を倒し、次いで秀忠を、信吉を、生ある限り徳川につながる一族を根絶やしにするのだ」といい残して、箱根にある風魔の山塞へと急いだ。ここに風魔得意の手槍を使い、次から次へと相手が息つく間もなく襲いかかる飛竜の術、才蔵十八番の霧隠れの術も、凄じい火焔の前には文字通り霧消して全然役に立たない。紅蓮の術を使っての死斗が繰り拡げられた。おまけに多数に無勢、さすがの才蔵も、遂に風魔の手槍の餌食になったかに見えた一瞬、才蔵は肉を切らせて骨を絶つ捨身の新手を放って危機を脱し、油断をした大十郎に致命的な打撃を加えた。だが・・・。(公開当時のプレスシートより)

詳細は、シリーズ映画「忍びの者シリーズ」参照。

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