皇女和の宮との恋のため、自ら身をかくした有栖川の宮(市川雷蔵)を慕ってその隠れ家まで追って行った夕秀(山本富士子)は、ついにその情熱によって若宮の心を動かしてしまった。

 

 昭和二十八年一月から約半年にわたって朝日新聞紙上に連載された川口松太郎の小説「皇女和の宮」の映画化である。永田雅一社長自らが製作総指揮をとる大映カラー総天然色作品である。

 明治維新史にのこる皇妹和の宮が十四代将軍家茂に降嫁された事件を劇的に潤色した物語を八尋不二がシナリオを書き、森一生が監督したもので、宮川一夫が撮影に当っている。

 配役にも大映ベスト・メンバーを揃え、山本富士子、若尾文子、市川雷蔵の主役に、脇役陣にも最高の人々を集めている。