彼女は、若尾文子扮するタヌキ御殿のお姫さま"きぬた姫"の腰元で、リーダー格のドライダヌキ"おはぎ"の役。グラマーの誇り高い体に、ヅラをつけた珍しい時代劇スタイルで、愛想よく語ってくれた。
━ 映画はこれで九本目になります。東宝で二、三年前に『弥次喜多道中』をとったのが初めての時代劇で、こんどは二度目です。でも舞台ではよく時代劇の扮装で出ることがあります。この映画ではソウラン節と、吉田正先生のオリジナルと二曲の民謡を歌いますが、ジャズばかりでなく、これからは民謡もどしどし歌いたいと思っていますので、よい勉強になります。
私の役は、人間に化けているのに疲れた腰元のタヌキ、お姫さまにささやかなレジスタンスを起こして腹鼓を打ったりするドライダヌキです。とにかく歌って踊って、お芝居も出来るという楽しい役で、やりがいがあります。よく映画と舞台のちがいをきかれますが、どちかといえば舞台の方が自由にあばれることが出来るような気になります。私はずい分ボリュームがあるので、映画だとカメラのワクからはみだしちゃいそうな気がして、思うように動けないんです。ワイドカメラのワクからはみだした・・・なんて自慢にはならないけど、そんな気がするんですよ・・・。
結婚するまでは、秀坊が旅行ばかりして、私は東京と北海道、大阪ぐらいしかいったことがなかったのですが、結婚してからは、反対にこんどのようなことが重なって、私が家をあけてばかり・・・秀坊はお家でママ(八重子)と留守番してます。
でも、近く九州で秀坊と私のコンサートがあるので、この映画の出演が終わり次第東京から来る秀坊と、京都で合流して長野へ行くんです。それがとっても楽しみです・・・。楽しみといえばもう一つ、十二月に入ると、秀坊のバンドでジャズを八曲ばかりLP盤に吹き込むことになっていて、これもすごく楽しみにしています・・・。━
(デイリースポーツ・大阪 11/26/59) |