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 大映の『好色一代男』(監督増村保造)は、市川雷蔵と中村玉緒の密会シーンから撮影を開始したが、世之介の雷蔵が女体遍歴する美女、若尾文子、中村玉緒、近藤美恵子、水谷良重、阿井美千子の五人が勢ぞろいした。

 若尾文子は、絶世の美女夕霧太夫、世之介の放蕩にピリオドをうたせるかにみえた遊女。きびしい封建のオキテのなかに、愛するがゆえに、悲壮な最期をとげる。あわれな花一輪。

 中村玉緒は北国の漁師町の網元の妾お町。かんどうされて流浪する世之介と一夜のちぎりを結び、駆け落ちまでするが、追っ手にとらえられてリンカンされ、これを恥じて自殺する薄幸の女性。

 水谷良重は遊女吉野太夫。世之介がボンボンの大尽振舞いをする当時の女性。

 近藤美恵子も遊女。吉原随一の権勢を誇り、一夜に万金を積んでも拝もうと粋人がひしめく。世之介もその一人。

 阿井美千子は後家のお杉。三十後家は身がもたないとのコトワザ通り、三十女の淫蕩さと、あつかましさをだそうと熱演中。

 これらの美女に囲まれた雷蔵は、「こんな美しい方々のヤワハダを身近に感じ、そこはかと匂ういい香りを満喫できるのは、まったく役者冥利につきるというものだ。濃厚なラブシーンをご披露して、色の道を教えますといきますかネ」と目をホソめてニヤリとご機嫌。

(03/01/61)