大映京都の『大菩薩峠』は市川雷蔵、山本富士子、本郷功次郎、中村玉緒といった顔ぶれで撮影中だが、このほど、山本富士子の“竹の子ハギ”なるシーンの撮影が行なわれ、スタッフ、キャスト連は目の正月とよろこんだという。なにしろ天下の美女、山本富士子が腰元奉公する家で「百人一首」のカルタ取り、竹の子勝負の結果、酔客らにウデずくでキモノをはがされるという場である。

 三隅研次監督は、「お富士さんには気の毒だが、劇のいろどりから、ここは目をつぶってごかんべんを・・・。キモノはぎの連中も、美女とて、ようしゃは無用、ほんとうにお富士さんをヌードにするつもりでとびかかってください。ただし、映倫さんにおこられぬよう、ソコハカトナクね」と微妙な注文をつける。数回のテストで気のつよいお富士さんもネネをあげたところで本番。とりおえた山本富士子は、あたふたと俳優部屋へ引きあげていった。

 

 (サンスポ・大阪版 09/27/60)