大映京都が山本富士子、市川雷蔵の主演で撮影を続けている『人肌牡丹』(監督森一生)は、この夏ヒットを放った『人肌孔雀』の続編。前作より一段と豪華にして山本富士子のヒット・シリーズものとしての地位を築き上げようとする一編だが、お富士さんを助けて前作同様の活躍をするのが近藤美恵子、梅若正二のコンビだが、この映画での近藤は、お待ちかねのお吉と称する女やくざで、加賀藩のお家騒動の陰謀派の手先に使われている女スパイ。投笄が得意で、平次ばりにコウガイを投げて暴れ回る。

 ある日、賭場で山本の緋牡丹お雪と丁半を争うが、居合わせた雷蔵にイカサマを見破られたことから雷蔵の男ぶりにホレる。ところがその雷蔵の心が山本にあるのを知って、事件からも雷蔵からも手を引くというやりがいのある役どころ。

 近藤美恵子は「私が悪役をやるのは初めてです。でも最後には改心するので、悪女は悪女でも素直な悪女ですわよ。どちらが丁か半かも分からない私が、立ヒザをしたりサイコロをふったり・・・。自分でも変な気分ですね。鉄火な役はずい分やりましたが、こんなすごい姉御は初めてです。でも自分のどちらかといえば内気な性格と、全然逆のガラリと変った役なので、やりがいもありますし、大好きな役の一つですね・・・」と語っている。

(デイリースポーツ 58年11月29日)

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