舞台、テレビで劇化されることになった有吉佐和子原作の「華岡青洲の妻」が、こんどは映画化される。各社に先がけて映画化権を手に入れたのは大映。

 医学という世界共通のテーマに、嫁としゅうとめという人間ドラマがからむ物語に目をつけ、大映はこれを上映時間二時間、一本立て用の大作として製作し、海外への輸出用作品として力を入れている。このため製作費のかなりの部分は、輸出用映画のための長期金融を受けることになりそうだ。

 監督・増村保造、脚本・新藤兼人、配役は青洲に市川雷蔵、その妻に若尾文子、青洲の母に高峰秀子という異色のキャスティングが決った。高峰はいままでも『雁』などで大映出演の経験はあるが、こんどは舞台の山田五十鈴、テレビの水谷八重子に対処できる女優ということで、大映が特に気を使った配役だ。

 撮影は七月一日にはじまり、九月上旬完成。封切は一般公開が十月二十八日からで、それに先だってロードショー公開する。

(朝日新聞 06/01/67)

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