ハワイから帰って記者団と語る市川雷蔵=大映本社で

 

 正月の劇場挨拶のためハワイへ行っていた市川雷蔵は、六日朝十時四十五分羽田着のパン・アメリカン機で帰ってきた。雷蔵は午後、京橋の大映本社で次のようなミヤゲ話を披露した。

◇ 正月三日間、大映系の国際劇場で私の主演した『浮かれ三度笠』の上映の合間に一日四回、清元「お祭り」を踊った。向うの人にはちょっと理解できないかもしれないと思い、解説をやって踊りました。それではじめての外国旅行だったのに時間の余裕がなくて見物は全然出来ず、残念でした。

◇ ハワイでの日本映画、とくに時代劇の関心はすごいばかりで、日系だけでなく、他の外国人にも大変モテているようでした。右太衛門さんが演られる“旗本退屈男”の諸羽一刀流もちゃんと知っている。モロハ(諸羽)というのはハワイ語で“なまけもの”という意味らしい。

◇ 国際劇場は客席一千五十で満員。日本のように詰め込みをやると営業停止になるから、どこの映画館でもゆっくり映画見物が出来る。この劇場には広いパーキングがあって、ハワイではパーキング設備のない映画館は敬遠されている様子だった。

◇ 私の後援会の人やジャーナリストたちと昼食会をやりましたが、まだハワイでは上映されていない『炎上』のこと、結婚のことなどをたずねられた。

◇ 大晦日、正月と外国での初めての新年を迎えたわけですが、大晦日の夜は大変なにぎわい。陽気な気持になって花火をあげるやら、爆竹を鳴らすやらで大騒動。ホテルではちょうど団伊玖磨さんと一緒になって、トソをくみかわしました。まあ、向こうの印象を一口でいうと、非常に大衆が社会秩序を守っているということに感心しました。

 雷蔵はこのあとすぐ「第二こだま」で京都へ出発、七日から昨年からひきつづきの『濡れ髪喧嘩旅』に出演、一月下旬から、市川崑監督『ぼんち』の撮影に入る予定。

(01/07/60 日スポ・東京版)