小堀 阿吉雄・明男
(こぼり あきお)
1920年3月5日〜

   

本名:堀江計作
東京都

『弁天小僧』

左から雷蔵、河津、小堀、伊沢
 父は新派の名優で映画にも数多く出演した小堀誠、母・ぎん。4歳で新派の舞台を踏む。金富小学校から、26年、京華中学に進み、30年に中退し、井上正夫に師事する。41年、横須賀重砲連隊に入隊、45年12月復員。47年7月に発足した東横映画にスカウトされ、同年12月片岡千恵蔵主演『三本指の男』に小堀明男の芸名でデビュー、48年4月正式入社する。

 51年、大映京都に転じ、大河内伝次郎の『上州鴉』『逢魔が辻の決闘』51年に助演、『瞼の母』52年では三益愛子のおはまに対し番場の忠太郎を演ずる。52年3月、東宝に転じ脇役出演後、同年12月のマキノ雅弘監督『次郎長売出す』で次郎長に抜擢される。松浦健郎、小国英雄、橋本忍らの絶妙のシナリオ、マキノ雅弘の語り口のうまさ、それに河津清三郎(大政)、水島道太郎(小政)、田崎潤(桶屋の鬼吉)、森繁久弥(森の石松)らの芸達者とのチームワークもよく、以後『次郎長三国志』のタイトルで傑作シリーズとなり、その『次郎長初旅』『次郎長と石松』『勢揃い清水港』『殴込み清水港』『殴込み甲州路』『旅がらす次郎長一家』(53年)、『初祝い清水港』『海道一の暴れん坊』『荒神山』(前後篇)(54年)の計10本に主演、代表作とする。

 続いて『恋風街道』や『新鞍馬天狗』シリーズ『天狗出現』『東寺の決闘』(54年)に主演するが人気が伸びず、以後は脇役に回る。東宝時代劇が激減していくなかで三木のり平主演『次郎長意外伝』シリーズ『灰神楽の三太郎』『大暴れ三太郎笠』『大暴れ次郎長一家』(57年)ぶ次郎長役で、『柳生武芸帳』に松平伊豆守で助演するが、明治物『嵐の中の男』(57年)に三船敏郎の敵役を演じたり、勝手のちがう現代劇『浮気旅行』(56年)に助演したこともある。

 57年9月、時代劇にあくまで活路を求めフリーとなって大映京都の『雪の渡り鳥』(57年)を最初に、大映、松竹、新東宝の時代劇に数多くバイプレヤーとして出演、大映ではほかに『人肌牡丹』(59年)、『切られ与三郎』『濡れ髪牡丹』(60年)など、松竹では『天保水滸伝』(58年)ほかがある。

 70年の日活ニュー・アクション『斬り込み』を最後に映画を離れ、舞台に転じた。59年の大映『女と海賊』から阿吉雄と改め、61年の大映『喧嘩富士』から明男に戻したが、76年からは阿吉雄とした。

 41年に結婚した、よね子夫人との間に三男三女。

1957.09.21 稲妻街道
1958.01.15 遊侠五人男
1958.04.29 命を賭ける男
1958.07.13 女狐風呂
1958.11.08 濡れ髪剣法
1958.11.15 伊賀の水月
1958.11.29 弁天小僧
1959.01.03 人肌牡丹
1959.06.02 次郎長富士
1959.12.06 浮かれ三度笠
1960.01.03 二人の武蔵
1960.07.10 切られ与三郎
1960.08.09 安珍と清姫
1960.12.27 大菩薩峠 竜神の巻
1961.02.08 濡れ髪牡丹
1961.07.12 水戸黄門海を渡る