昭和33(1958)年8月19日、『炎上』は公開された。時代劇の颯爽たる美剣士スターであった市川雷蔵は、初めて現代劇に挑み、国宝に放火する吃音の学生僧を演じた。結果、海外での映画祭を含み数々の男優賞を手にした。

 その評価は、以下の“キネマ旬報男優賞”に尽きる。

〜あなたは、昭和二十九年関西歌舞伎から映画界に入り、伝統的な舞台で習得された演技を生かしつつ、端麗な個性に真摯な精進を加えて、よく日本映画時代劇に新しい役柄を開拓して来られました。とくに昭和三十三年度においては、初の現代劇である炎上に主役を演じ、今日の複雑な青年像を繊細な映画的演技によって、従来の二枚目型をさらに豊かなものとしたことは、すべての若い演技者に貴重な教訓を与えるものとして特筆すべき功績であります。〜

(1959年3月1日発行キネマ旬報より)

 

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